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最高裁判所第一小法廷 昭和24年(れ)1502号 判決 1949年11月10日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人森末繁雄上告趣意について。

しかし銃砲等所持禁止令違反罪は銃砲等を所持するを以て直に成立するものであるから、本件拳銃の所持携帶が仮りに数時間に過ぎなかったとしても、犯罪の成立を妨げる理由とはならない。また、本件所持罪の目的物が拳銃であることは原判決挙示の証拠により肯認しうるところであるから、原審の証拠として採用していない所論捜査報告書に「破損」と記載されてあるからといって、同令の対象とならないものであると主張することはできない。そして執行猶予を為すと否とは原審の自由裁量に属する事柄であるから、所論の事情があるとしても、被告人に対し執行猶予の言渡をしなかったことを目して違法であるということはできない。それ故論旨は採ることができない。

よって旧刑訴四四六條に從い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎)

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